上場のメリット・デメリット
- Hajime Higashiyama
- 8月17日
- 読了時間: 6分
今回は「(株式)上場」について、そのメリットやデメリットを整理してみます。
上場は、よくIPO、あるいは株式公開とも呼ばれますが、厳密には違うので、まずはその整理から。
今回はあくまでさらっといきますが、上場およびIPOとはどんなものかについて、以下に簡単にまとめてみました。
・上場とは、上場審査を経て証券取引所に登録され、その株式が証券取引所、つまりは株式市場で流通(売買)できる状態になること
・証券取引所において、証券会社を通して売りと買いのマッチングが行われる
・上場への重要なプロセスの1つとして、IPOが行われる
・IPOは、Initial Public Offering の略称であり、「株式公開」と訳される。
証券会社を介し、上場の前日(営業日)に投資家へ株式が発行・販売され、公募・売出しが 行われること
・上記の公募や売出しを行う際に適用される株価を「公開価格」呼ぶ
つまり、それまではスタートアップと投資家が相対で行っていた株式の売買(エクイティファイナンス)が、IPOで初めて証券会社を通して行われるということ。
そして、通常はIPOの翌営業日にスタートアップは上場を果たし、証券会社からの売買の発注に基づき、証券取引所において株式の売買が行われていく訳です。
よく「初値」がついたと言われますが、これは上場して初めて取引が成立した株価ですね。
さて、上場のメリット・デメリットについては、様々な書籍や資料等で述べられていることではありますが、大体以下のとおりに整理しておけば良いでしょう。
まずはそのメリットから、主なものを挙げてみます。
【上場のメリット】
・資金調達(多様化)
・信用力・知名度・企業イメージの向上
・創業者利潤の獲得
・従業員や役員の財産形成(持株会など)
・知名度や企業イメージの向上
・優秀な人材の採用
・経営・財務管理体制や企業ガバナンスの強化
いろいろありますね。
メリットは比較的イメージしやすいでしょう。
米国企業もそうですが、株式上場の際に巨額の資金を集めた、という話もよく聞きます。
フェイスブックやグーグルでもそんな話しが出たかと思います。
ちなみに、ここでいうところの資金には大きく2種類あります。
一つは「公募(増資)」という資金で、株式上場(より正確にはIPO)の際に発行する新規の株式の対価としての資金です。
会社の資本金(資本準備金)になっていく資金ですね。新株発行による調達資金なので、「増資」ということになります。
公募で調達した資金によって会社はさらなる事業投資(企業買収を含む)を行っていきます。
もう一つは、「売出し」と呼ばれるもので、起業家(創業者や役員など)および既存の株主(投資家)が他の投資家へ売却することによって、キャピタルゲインを得るものです。
キャピタルゲインとは、もちろん売買差益のこと。
起業家からみれば、これが「創業者利潤」ですね。
自身が会社を立ち上げ、場合によってはその後も自らの資金を会社へ投資した時点での株価に比べ、上場時の株価はその何倍、あるいは何十倍にもなっているのが普通ですので、まさに巨額の利益となる訳です。
上場によって会社の信用力・知名度・企業イメージの向上、あるいは人材採用にも有利になるのは、もはや言うまでもないでしょう。
社員の方が住宅ローン等を組むときにも、会社が上場していれば相当有利に働くでしょう。
その意味では、会社はもちろん、役員・社員自身の信用力の向上にも繋がります。
もちろん、上場企業となれば、銀行借入なども未上場の時とは比べ物にならないほどの世界になりますし。
では、デメリットはどうでしょうか。
こちらも主なものを挙げてみます。
【上場のデメリット】
・多額の上場準備費用の発生
・投資家への経営責任(企業価値増大へのプレッシャー)
・管理コストの増大
・企業情報開示の義務
・買収(乗っ取り)への懸念と対策の必要性
上場には素晴らしいメリットがある反面、これらのデメリットには、かなり手足を縛られるような感覚を覚える起業家もいるかも知れません。
簡単に言えば、弛まぬ成長を求められ、情報についても、経営計画、決算情報、あるいは重要な人事等も公に知れ渡る、ということです。
ここで言う「成長」とは、結局は企業価値(株価)の増大のことです。
もっとも、だからこそ投資家は投資判断の材料にできる訳なのですが。。
新規にその企業の株を買う、ということだけでなく、逆に手放す材料にもなり得る訳ですね。
管理コストもばかになりません。
上場を維持するために、未上場ならば置く必要のない部署や人材を抱える訳ですし、株主説明会なども開催して、社長自らが証券アナリストや個人投資家や機関投資家等に向けて説明にあたらなければなりません。
また、監査役会の設置や、監査法人(公認会計士)による会計監査も必要ですし、決算をめぐって会社側と監査法人側の意見が対立、などの話もよく聞きます。
当然、これらの人材の人件費や報酬等も管理コストに入ります。
更には、株主の数も非常に多くなるので、株主総会などの費用や準備も大変です。
もっともそれ以前に、上場すること自体に多額の資金が必要になりますが。。
更には買収対策です。
上場するということは、会社が「株式」というかたちの金融商品になることとも言えますので、前述のとおり、株式市場を通して売り買いが成立します。
企業として(有形無形の)魅力的な資産を持ちながらも、業績や株価が低迷する企業などは買収の対象になりやすいことは言うまでもないでしょう。
一頃、「ハゲタカ」という言葉も流行りましたが、まさにそれです。
業績・株価が低調な企業の株を買い、経営権を握り、経営陣を総入れ替えし、短期的であっても株価を上げることができれば儲かりますから。
買収が本当にハッピーエンドにいけばまだしも、特に外資企業や海外の投資家は、日本とはまったく違った文化や思想できますから、こういう状態にならないためにも常に成長(株価の上昇)が求められる訳でもあります。
また、そうでないと投資家はキャピタルゲインを得られませんしね。
このあたりはあらためて書いてみたいと思います。
但し、デメリットをどう捉えるかは、会社(起業家)次第でもあります。
自身(自社)を律する良い意味での重しとみることも可能でしょう。
今回のところは、これらのメリット・デメリットを考えた上で、会社をどのように成長させたいのか、その戦略の一つである上場について、どんなメリットやデメリットがあるのかをおさえておいて欲しいと思います。
では、また。
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