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株主の権利と義務

更新日:7月18日

今回はスタートアップも含めた企業の基本の基本ということで、株式会社における、株主の権利と義務についてみていきたい。


その前に少し「株式会社の特徴」について確認してみよう。株式会社の特徴としてあげられるのは、会社の所有が株式という持分によって不特定多数に細分される点である。株式を保有する者、つまり株主を広く募ることができるので、多くの資金を集めることができる。従って、株式会社は大規模な事業をめざすスタートアップなど、成長志向の会社向けとも言えるだろう。次に、すべての株主は有限責任である。株主は、会社の株式を引き受けるときに支払った資金(出資金)以上の責任を負うことはない。万が一、会社が倒産したとしても、株主はその出資額を超えて金銭や財産を負担することはない。これも株式会社が多くの資金を募ることができる大きな理由である。

ちなみに、会社を清算し、最後に負債の全部あるいは一部が残って債権者に返金できなかった分については、債権者の損失となる。債権者に対しても返済しきれなかった訳だから、当然、投資家(株主)には1円も戻ってこないということになる。清算時においては、株式(エクイティ)は負債に対して順位が劣後するからだ。

 

それでは本題に入るが、株主の義務とはズバリ一言、「株式と引き換えにお金を支払うこと(株式の払い込みを行うこと)」のみである。 ・・・これが済んでしまえば、あとはその企業のオーナーシップ(の一部あるいは全部)の保有者たる株主としてその権限を行使するのみである。もちろん有限責任のもとに、である。

では、株主の権利についてはどうだろうか。ここでは、一般的な「普通株式」に限定して話を進めるが、大きく分ければ、・自益権・共益権の二つがある。自益権とは、会社から経済的な利益を受ける権利のことで、具体的には配当の受領権がその代表的なもの。簡単に言えば、ファイナンスに関わるミクロな側面での権利である。

共益兼とは、ざっくりと言えば、会社の経営に口を出す権利のこと。株主総会で議決権を行使する権利や、会社の帳簿を閲覧する権利などである。こちらについては、簡単に言えば、株主全体の利益を守るガバナンス(健全な経営のための統治)に関わるマクロな側面についての権利である。

これらは、定款に定められるものではなく、登記によって公示されるものでもない。どういうことかと言えば、会社法によって規定された、それ以前の「前提」なのである。つまり、これらの権利を定款によって覆すことは一切できない。また、義務を免じることもできない。なので、定款の定めも登記も不要(意味ないですからね)、ということ。

このあたりをもう少し知りたい、という方については、拙著「スターアップのエクイティファイナンス 重要ポイント50(中央経済社)」の第3章:「株式会社と株主」を参照して欲しい。


では、大事なことを一つ。

一見スタートアップにとって非常に心強い味方に見える株主といっても、必ずしもいつも(どんな状況下においても)自社の味方ではない。場合によっては、株主の利害が会社と対立することだってあるし、そもそも会社の経営や管理に疑問を持たれることだってあり得る。そういう場合には、時として株主としての権利を行使される(主には株主総会における議決権の行使というかたちで)ことがある、ということである。なので、これらの点を踏まえたマネジメントや資本政策が求められることは十分に理解しておこう。

 

そこで、これまで数多くのスタートアップをみてきた私自身の経験を伝えたい。

投資家から出資を受け、株主となってもらった後の重要なことは、連絡や相談を含めた継続的なコミュニケーションであると思う。

どういうことか。

投資家だって、スタートアップが百発百中で成功するとは思っていない。百発百中のスタートアップ投資など、そんなことはそもそも不可能な世界なので。ましてや、エクイティで投資するということは、その投資が失敗すれば1円も回収できないことも多いということは、投資家だって百も承知である。

そんな中で、最悪の結果になったにせよ、投資家として株主に納得してもらうには、日頃のコミュニケーションをどれだけ取っていたか、にかかってくる。

実際にあることなのだが、投資家より出資を受けながら、年に一度の定時株主総会をきちんと行っていなかったりなど、およそ信じられないことも起こっている。

そんなスタートアップが結局破綻したら、株主である投資家はどう思うだろうか? 投資は自己責任だからといって、「はい分かりました、残念でしたね。次は成功することを祈ってますよ!」などと言うだろうか?

もちろん、否である。

「総会の資料でさえもろくに送ってこねーで、結局は破産? 当然じゃねーかっ!」ってことになるだろう。

そんな起業家に対しては、間違いなくその投資家からの次の投資はない。

逆に、日頃のコミュニケーションを怠らず、きっちりやっていることが分かれば、どんな結果になろうと納得してくれるものだ。投資とはそういうものだと理解しているからである。

つまり、結果もさることながら、それに至るプロセス・対話がどうだったか? 投資家(株主)として納得できるものだったか? ということなのである。

 

ということで、本当にここは大事!と感じていることを述べてきた。

スタートアップ起業家は、経営者として必ずここを意識して欲しい。



では、また。



〇 この記事が参考になった方へ:

エクイティファイナンスの基礎から実務まで体系的に学びたい方は、私の書籍「スタートアップのエクイティファイナンス 重要ポイント50(中央経済社)」もぜひご活用ください。

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