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持株比率と経営権

9月29日
読了時間: 4分

先日のブログ記事では、株主の権利と義務についてみてきたが、実際、どの程度の比率で株式を保有していれば、どの程度の影響力を行使できるのだろうか、言い換えれば、どのくらいの経営権を持てるのだろうか、という疑問にたどり着くはず。

ということで、今日は、株主の持株比率とそれに応じた権限(行使できる影響力、あるいは経営権)について見ていこう。


事前に予想はできることだとは思うが、株主の権限(経営権)は、その持株比率(議決権比率)によって大きく異なる。

例えば、法人なり個人が株主としてその半分を超えるシェアを持てば、その会社を子会社とすることができる。(個人の場合は、「子会社」とはあまり言わないが。。 「オーナー」になるという言い方をすることが多いだろう)


個人株主であるにせよ、過半数のシェアを持てば、株主総会において自分一人の意見で取締役や監査役の就任を決議できるし、取締役を解任することもできる。

過半数を超えて2/3 以上の比率を保有すれば監査役の解任も自分一人できるし、さらには、なんと会社の合併なども承認できてしまう。(もちろん、相手方の会社サイドでの承認も前提ではあるが)

拙著「スターアップのエクイティファイナンス 重要ポント50(中央経済社)」に持株比率に応じた主な権限(経営権)をまとめたので、参考にして欲しい。


但し、話は少し複雑になるが、この比率は、所謂「委任状」分も含めた比率であることに注意して欲しい。

少々脱線もするので、この「委任状」については、別の機会に譲ることにするが、この委任状を自分(自社)のものにすれば、その議決権も得られることになるので、壮絶な「委任状闘争(プロキシ―・ファイト)」なるものがしばしば繰り広げられる訳でもある。


ということで、株主(投資家)は、スタートアップを含む企業にとって返済が不要な資金の提供者である出資者として大きなリスクを取るかわりに、これらの権限を行使することによって、そのリスクを極力抑える行動が取れる訳である。

つまり、よく言われていることではあるが、エクイティの調達と起業家が保持できる経営権(議決権)はトレードオフの関係にあるということである。

エクイティファイナンスを行えば行うほど、資金は増えるが、一方で会社(起業家)の経営の「自由度」は失われるということである。


こういう訳で、あまりに安易にエクイティによる調達をしてはならないし、同様に安易にエクイティの提供の話に乗ってはならない。

最悪、気づいてみたら半分以上のシェアを取られており、殆ど乗っ取られていた、という事態は避けなければならない。

過半数のシュアを取られてしまえば、自分たち取締役はいつ解任されてもおかしくはないのである。

ちなみに、「代表」取締役であってもそれは同じである。

代表権を持ってはいても、「取締役」の一人ということでは他の取締役と扱いは変わらない。

代表取締役については解任へのハードルが上がる、といったような「特典」はない。

こういう点には十分注意して欲しい。

 

一方、借入金や社債などの「債権者」にはこれらの経営権はない。

もちろん、銀行借入などを起こせば、毎期決算書(税務申告書一式の写し)の提出を求められたりはするが、だからと言って、株主として経営に参画する権限を持っている訳ではない。

上場企業のように信用力や知名度がある企業は、様々な資金調達ルートを確保しているので、会社(財務)の状況に合わせて、株式発行によるエクイティの調達、銀行借入、社債の発行など、色々と組み合わせながらその時々の資金需要に対応することができるということである。

スタートアップの場合は、相当程度成長していないとここまでのことはできない。

とは言っても、スタートアップにおいても、一日も早くここまでのレベルに到達すべく、起業家の方々にはぜひとも頑張ってもらいたい。


では、また。



〇 この記事が参考になった方へ:

エクイティファイナンスの基礎から実務まで体系的に学びたい方は、私の書籍「スタートアップのエクイティファイナンス 重要ポイント50(中央経済社)」もぜひご活用ください。

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